クマふと通信2024年11月号
Kumaft Tsushin
冬に急増する住宅火災 乾燥する季節に注意したいポイント
空気が乾燥してくる11月以降、冬に急増するのが住宅火災です。住宅火災によって亡くなった方は平成17年(2005年)に1,220人を記録して以降、減少傾向にありましたが、令和3年(2021年)と令和4年(2022年)は増加傾向にあり、約1,000人の方が亡くなっています。
2022年に起きた住宅火災の件数は1万1,411件で、亡くなった方は972人です。そのうち約75%にあたる731人が65歳以上の高齢者で、死亡の原因としては「逃げ遅れ」が全体の約半数を占めています。
今回は乾燥するこれからの季節に住宅火災から大切な我が家を守るポイントをご紹介して参ります。
火災発生の原因は?
住宅火災の死者数を発火源別にみると、「電気器具」「たばこ」「ストーブ」「こんろ」が主な原因となっています。コンセントに溜まった埃やたこ足配線などが原因で出火し、近くに置かれた布製品などに移って燃え広がることによって起こっています。
電気器具からの発火の内訳は電灯等の配線からの発火、配線器具からの発火、テーブルタップからの発火、電気器具本体からの発火などとなっており、コードや配線器具からの発火が70%以上を占めており劣化したコードやコンセント、テーブルタップのたこ足配線には潜在的に火災のリスクが秘められていると言ってもいいでしょう。
出火原因別の注意ポイント
火災を起こさないため、出火の原因別に注意が必要なポイントを纏めました。イラストもご参照下さい。
こんろ:出火原因が最も多いのがキッチンのガスコンロです。次の点に注意しましょう。
①調理中はこんろから離れない ②周囲を整理整頓して可燃物を近くに置かない ③鍋底などから火がはみ出さないように火力を調節する
ストーブ:出火の約7割が電気ストーブによるものです。
①周囲に燃えやすいものを置かない ②ストーブの近くで洗濯物を干さない ③外出時や就寝時など消し忘れないようにする
コード:電源コードにも出火の危険が潜んでいます。
①コード周りやコンセントを定期的に点検・清掃する ②束ねたり結んだ状態で使用しない ③家具の下敷きや折れ曲りにも注意する ④テーブルタップは規定の容量内で使用する
たばこ:住宅火災での死者数が最も多いのがたばこです。喫煙する方は特に注意が必要です。
①寝たばこは絶対にしない ②吸殻は完全に消火する
被害を抑えるための対策を忘れずに
被害を抑え人命を守るためには日頃からの対策が重要です。次の6つのポイントを再確認しておきましょう。
①火災の発生を防ぐためにストーブやこんろ等は安全装置の付いた機器を使用する。
②火災の早期発見のために住宅用火災警報器を定期的に点検し、10年を目安に交換する。
③火災の拡大を防ぐために部屋を整理整頓し寝具や衣類及びカーテンは防炎品を使用する。
④火災を小さいうちに消すために消火器等を設置し使い方を確認しておく。
⑤ご高齢の方や身体の不自由な方は避難経路と避難方法を常に確保して備えておく。
⑥防火防災訓練への参加、戸別訪問などにより地域ぐるみの防火対策を行う。
火災の危険を知らせる住宅用火災警報器
住宅用火災警報器は、煙や熱を感知し、警報音などで火災の発生を知らせてくれます。設置をすることで、火災にいち早く気付き速やかな通報や消火・避難が可能となります。東京都の火災予防条例では、平成22年4月1日より住宅内の全ての居室・台所・階段に設置する事が義務付けられています。しかし、設置から10年以上経過すると電池切れや機器の劣化で機能しない可能性があります。設置から10年を目安に本体交換を行い、いざという時に備えましょう。
令和元年(2019年)から令和3年(2021年)までの3年間で、住宅用火災警報器の設置効果を分析した結果、死者数・損害額は概ね半減、焼損床面積は約6割減となっています。住宅用火災警報器を設置することで、火災発生時の「逃げ遅れ」による死亡リスクや損失の拡大リスクを大幅に減少させることが出来るのです。
住宅用火災警報器は定期的に点検し、10年を目安に交換を
住宅用火災警報器を適切な場所に設置しても、万一の時にきちんと作動しないと意味がありません。取扱説明書に従い定期的に点検(少なくとも年に2回)をして正常に作動することを確認し、もし正常に作動しない場合は住宅用火災警報器を交換しましょう。
設置した時期が分からない時は火災警報器の蓋を外して内部に書かれている製造年月日からおおよその設置時期を推測しましょう。また、交換した警報機を取り付ける際には設置年月を本体に記載しておきましょう。
初期消火に役立つ住宅用消火器
住宅用消火器は一般家庭で使いやすいように開発された消火器です。軽量で、高齢者や女性などでも使いやすく、火元を狙いやすくなっているのが特徴です。
家庭で起こり得る火災には紙や木材、布などが燃える「普通火災」の他、天ぷら油で起こる「天ぷら油火災」、電気コードなどで起こる「電気火災」、石油ストーブなどで起こる「ストーブ火災」などがあります。住宅用消火器には、適応する火災が絵で分かりやすく表示されていますので、必要な用途に合わせて住宅用消火器を選びましょう。
また、消火器の補助的な役割を果たすエアゾール式簡易消火具も家庭内で発生する天ぷら鍋の油の過熱による発火、石油ストーブの注油中の引火による火災、火の不始末によるゴミ箱の火災などの比較的初期段階の火災に有効です。住宅用消火器は、業務用消火器のように消火薬剤の詰め替えや点検をする必要はありません。ただし、使用期限はありますので定期的に交換するようにしましょう。
リフォームで火災に強いお住まいに
住宅などの財産だけでなく命までをも奪う恐ろしい火災、起こさないように今回ご紹介したポイントを再認識する事は非常に重要ですが、リフォームで火災に強いお住まいにする工夫もございます。
例えばガスを使用せずIHクッキングヒーターを採用したシステムキッチンへのリフォームで、こんろからの発火リスクを軽減する事が出来ます。また防火性能の高いクロス(壁紙)への張り替えなど、クラフトホームでは様々なご提案をご用意しております。
お住いの火災対策についてお悩みの事がございましたら、お気軽にクラフトホームにお問い合わせ下さいませ。