クマふと通信2024年12月号
Kumaft Tsushin
急増する悪質な点検商法 被害に遭わないためのポイント

「屋根修理」を騙る点検商法によるトラブルはここ数年全国的に急増していますが、先日とうとう詐欺未遂その他で逮捕者が出る事件が発生しました。屋根修理の必要がないのにも関わらず、屋根の一部を破壊し契約を結ぼうとしていたもので、営業マニュアルまで作成されていた点に特に悪質性を感じる事件でした。実在するリフォーム会社がこうした詐欺事件を起こしていた事に衝撃を受けられた方も多いでしょう。 今回はこうした詐欺に合わないため、悪質な点検商法の手口や対処法をご紹介して参ります。
点検商法とは?

点検商法とは、「近所で行う工事の挨拶に来た」などと言って突然訪問し「屋根瓦がずれているので点検をします」と言って点検した後「このままだと瓦が飛んでご近所に迷惑がかかる」などと不安を煽って工事の契約をする手口です。屋根の点検商法に関する相談件数は2018年からの5年で3倍に増えており、契約当事者の8割超が60歳以上で特にご高齢の方に注意が必要なトラブルです。
今回の逮捕事案のように点検中に業者自ら破壊行動をし、修理箇所を作り上げ高額な工事契約を結ばせようとするケースが全国的に拡大。2022年には全国消費生活情報ネットワークシステムに寄せられた点検商法の相談のうち「屋根修理・屋根工事」に関わる相談件数が35%に達しています。
屋根修理を騙る点検商法の手口

こうした悪質な訪問業者はどのような手口でトラブルに巻き込もうとするのでしょうか?ここでは実際に報告されている手口やセールストークをご紹介します。
①親方に言われて来ました
「近所で工事をしている業者ですが、通り掛かったらお宅の屋根の瓦が剥がれそうなので親方に知らせてあげるように言われて来ました」…どうやらこのトークが一番多いようです。善意を装い、親方の指示に従ってきた実直な若い職人というキャラクターを信じてし
まう方が多いようです。また、その親方は本当にいるのかと尋ねるといかにも親方然とした貫禄のある人物が登場することもあるそうで、決して若い職人一人の思いつきではないという裏付けを見せる事で懐に入り込む事例もあるようです
②実際には見えない角度なのにごく小さな破損を指摘
普通に下から見ただけでは確認できない角度にも関わらずスレートの浮きや割れ、瓦のズレや破損などを指摘し、不必要に不安を煽る手口も非常に多いようです。「板金」や「釘」など一般的にどこにあるのか分からない部位の不具合を引き合いに出してくることもあります。「2階の屋根の右から何番目の瓦のコーキングが…」などといかにもそれらしい説明をされるとついつい信用してしまいそうですが、もしそれが肉眼で見えるとしたら抜群の視力の持ち主という事です。
③無料点検を持ちかける
「ちょうどハシゴも道具もあるので無料で診てあげますよ」と無料点検を持ちかけるケースも報告されています。不用意に知らない業者を屋根に上げたら今回の逮捕事案のように破壊されて修理の必要を迫られ強引な契約に繋がる恐れもあります。確かに「無料」は魅力ですが、甘言に乗らないように注意しましょう。また、最初から騙すつもりの悪質業者ですからハシゴや道具を持参しているのは当たり前の事です。一般人が見る事ができない「屋根の上」を業者の好き勝手に演出出来るのもこのケースの特徴です。
④定期点検に伺いました
ハウスメーカーや大手建築会社、電気・ガス会社、あるいは自治体からの派遣を騙って屋根の点検を持ちかける手口です。他と同様に必要がないのに修理契約を取り付けようとします。メーカーや大手会社や自治体のネームバリューについ信じてしまいがちですが、鵜呑みにしないよう注意が必要です。クラフトホームでは工事後定期的に顧客様を訪ね定期点検を行っておりますが、顧客様のご要望がなければ屋根に上がって勝手に点検することはございません。
⑤まさに劇場型!別業者が登場
善意の工事業者を装い突然訪問して来ては屋根が壊れているので修理が必要と告げ、その日はそのまま引き下がります。すると数日後別の工事業者が訪ねて来て「どうもお宅は屋根の修理が必要みたいですね。屋根専門の業者ですから無料で点検しますよ」と点検の必要性を強調するもの。最初に訪ねて来た業者はスルーしても、屋根専門の業者に点検が必要と言われると本当にそうなのかと思わされてしまうというものです。様々な情報が流れており一般の消費者も詐欺対策に神経を尖らせている中、手の込んだ「劇場型」の演出は真に迫るものがあります。ですが、やはり屋根の上はちょっとやそっとでは見えない場所です。複数の業者に指摘されたからと言っても鵜呑みにするのは危険です。
詐欺被害に遭わないための対策は?

自治体や警察、消費者センターやテレビ・新聞などの各メディアがこうした悪質な訪問業者とは契約しないように案内をしていますが、点検商法の被害をゼロには出来ません。なぜなら悪質な業者も様々に手法を進化させているからです。今回の逮捕事案のようにマニュアル化までされているとしたら、様々なケースをシミュレーションしている事も考えられます。では詐欺による被害はどうすれば未然に防げるのでしょうか?ここでは主な対策をご紹介します。
①名刺や身分証の提示を求める
まずは、訪問して来た業者の会社名や所在地を確認しましょう。名刺の提示を求めたら「うちは個人事業主なんで」などと濁してその場を去ったという例もあるようです。シンプルですが実は効果的な対策と言えましょう。「怪しい」と感じたらまずは実行してみましょう。会社名や場所を即答できない業者は信用に値しないと思って間違いないでしょう。
②屋根には登らせない
いかに「無料」と言われも知らない業者は絶対に屋根に上げないようにしましょう。前述した通り屋根を破損されたりし、不必要な工事契約を結ばされる可能性があります。
③即日の点検や契約には絶対に応じない
悪質な業者は冷静に考える時間や周囲への相談をさせないために即日点検を迫ったり契約を急かしてくる事があります。その際はきっぱり断る事が重要です。独居のご高齢者の方は特に無理に契約に押し切られてしまう傾向があるようです。嘘でも近所に住んでいる家族に相談するなどの口実で冷静に考える時間を作るようにしましょう。
④契約は必ず書面に残しましょう
契約書を取り交わさずに口約束で契約を進めようとする業者はまず間違いなく悪質な詐欺業者と言って間違いがないでしょう。口約束はいわゆる「言った言わない」の論争になってしまいます。工事内容や工事金額などをどうとでも誤魔化されてしまう事もありますので書面を作成してくれない業者は即断りましょう。
訪問販売や飛び込み営業は違法なの?

訪問販売や飛び込み営業自体は違法ではありません。しかし一軒一軒訪問してまで修理の必要性を訴えてくる業者は当然優良なリフォーム業者とは言えません。
本来の訪問営業では①事業者名・担当者名②訪問の目的(契約の締結についての勧誘である事)③何を販売するのか(住宅の修繕工事)を事前に伝えてから本題に入るものです。従って横行している点検商法を勧めようとする業者は違法に近い勧誘をしているという事になります。
今回は屋根修理を騙る点検商法にスポットを当てましたが、住宅リフォームに関わる詐欺やトラブルには他にどのようなものがあるのかご紹介します。
①給湯器の点検商法
電話や訪問で突然給湯器の点検を持ち掛け、不安をあおって高額な給湯器の交換を迫る手口が多くみられます。中には、電話口で「自治体から委託を受けた」「契約中のガス会社から依頼された」などと身分を偽るケースもあるそうです。毎日使う給湯器ですのでガス会社や自治体の名前を出されたらつい応じてしまいそうですが、屋根修理と並んでトラブルが多い点検商法です。
②モニター商法の罠
悪質なリフォーム業者が「この地域で施工例を増やしたいので、お客様の家をモニターとして格安で工事を提供します」というセールストークで近づいてくるものです。また「市からの依頼でこの地域を回っている」とか、大手住宅設備メーカーの名前を出して「商品のご案内に来た」と言ってくるケースもあるようです。その言葉を信用し契約したら、後から高額な追加工事費用を請求され、結果的に大きな出費になってしまったというケースがあるようです。
③火災保険を悪用
台風や地震などの自然災害が発生した後に被害地域を訪れ「火災保険でカバーできるので費用はかからない」と騙してリフォーム契約を迫るものです。実際には不正な保険金請求が行われ、最終的に消費者に高額な工事費を請求するケースが多発しています。「保険適用」とか「実費不要」は魅力的なキーワードですが、やはり鵜呑みにするのは危険です。
困った時はどうすればいいの?
注意していても心の隙に付け込もうとするのが悪質な業者の巧妙な手口です。続いて困った時の対処法をご紹介して参ります。
クーリング・オフをする
契約後に詐欺だと気付いた場合はクーリングオフをしましょう。このためには契約から8日以内に業者へ書類・メール・FAXを送る必要があります。また8日過ぎてしまっていても、契約時にクーリング・オフの話をされていない場合や契約書にクーリング・オフの記載がない場合は、クーリング・オフが適用できます。
消費者センターに相談する
業者との対応に疑問を感じた場合や直接応じたくない場合は消費者センターに相談しましょう。全国から同様の事案相談が寄せられていますので的確なアドバイスが得られます。悪質な業者は独居のご高齢者や女性に対して急に横柄な態度を取ったり威圧してくるような事もありますので積極的に第3者機関を利用しましょう。
住まいるダイヤルに相談する
住まいるダイヤルは国土交通大臣指定の相談窓口で、専用の電話で相談や、契約前の見積書をチェックしてくれるサービスもあります。何と言っても住宅に関するお困り事の専門相談窓口ですので困った時は利用してみては如何でしょうか?
安心・安全なリフォームをご提供
実はクラフトホームでも顧客様のご要望で工事を行っている際にお近くにお住いの方から「近くで工事している業者ってお宅のこと?」と尋ねられた事があります。どうやらその時期に悪質な業者が屋根点検で近隣を訪問していたようでした。
弊社では工事を手掛けた顧客様宅の定期点検は実施しておりますが、訪問営業は一切行っておりません。クラフトホームでは安心・安全な暮らしのためリフォームで出来ることを常に模索しております。どうぞお困りの事がございましたら、何なりとお気軽にクラフトホームにお問い合わせ下さいませ。
